さて、お待ちかねの7巻、ついに11/3に発売されましたね。
はい、二人の海デート回です!これはもう、幸せ巻になるのは分かっておりました。
案の定――読んでいて嬉しくて楽しくてハッピー!でも、やっぱり胸がキュッと締めつけられて、涙…。
そして、幸せの光が強ければ強いほど、影もまた濃くなるもの。
今回はそんな、誉さんの心の奥にある“闇”がちらりと顔を出します。
🌸 あらすじ
約束通り、誉さんと花ちゃんは海へデートに出かけます。
初めて海を見た花ちゃんは、子どものように無邪気な笑顔。
その姿を誉さんは、ただ静かに、優しく見つめていました。
遊園地では滑り台を滑ったり、珍しい動植物を見たり、劇場で演芸を楽しんだり。
二人の時間はまるで止まったようで、穏やかで満ち足りたひととき。
一方その頃、誉さんの部下・湯浅伍長と幾松カップルも偶然同じ遊園地へ。
こっそり後をつけながら、二人の様子を見守るうちに、それぞれの胸にも静かな思いが生まれます。
デートの帰り道、海辺で誉さんは花ちゃんに“本音の告白”を。
あらためて、自分の気持ちを言葉にします。
さらに、三角夫妻のお話、オトウがやってくるお話、誉さんの心の黒い部分、夏祭りでのお話など――盛りだくさんで、読み応えたっぷりの巻でした。
🌿 7巻の見どころと感想
笑顔が伝染する、海と遊園地のデート
ハイ!あの青い空と青い海、まさに3色刷りの美しさでしたね。
ページをめくるたびにハッとする明るさ、まぶしいほどの幸福感。
大正時代の海遊びや遊園地の様子も新鮮で、当時の娯楽が垣間見えて興味深い。
花ちゃんが初めて見るものに目を丸くしたり、笑ったり。
その表情ひとつひとつが本当に生き生きしていて、読んでいるこちらまで頬がゆるみます。
誉さんも、きっとこの“初めて”を経験する花ちゃんの顔が見たかったんだよね。
独り占めできて良かったね、誉さん。
そして、そんな二人をこっそり見守る湯浅伍長と幾松。
偶然デート先が被ったとはいえ、二人の様子にそれぞれ思うところがあるようで…。
特に湯浅伍長の話では、誉さんの戦時中の任務のことや、伍長の知られざる一面が垣間見えて胸が痛みました。
やっと言葉になった、誉さんの想い
やったー!ずっと読んできて、私は、誉さんは「生き直してる」って言ってたけど、
今回、彼自身の口から出たのは「生き還る」という言葉でした。
暗い冷たい土の中から、光の射す地上へ――
そんな情景が自然に浮かびました。
これまで嫌なこと、寂しいこと、つらいこと、全部背負って生きていくつもりだった誉さん。
でも花ちゃんと出会って、それを手放して“幸せに生きていける”と信じられるようになったんですね。
海辺で放たれるその言葉の一つひとつが、本当に丁寧で、温かくて。
あぁこれだ、これが誉さんの“生き還る”という意味なんだと腑に落ちました。
「生き還る」「満ち足りる」「うれしい」
この三つの言葉が、彼の再生そのもの。
花ちゃんは誉さんにとって“癒し”であり、
幼いころの心の傷、そして戦争で傷ついた心を静かに再生させる存在なんですよね。
花ちゃんが笑えば、誉さんの世界にも光が射す――
ようやくその関係性が、言葉として形になった瞬間でした。
そうそう、海辺で花ちゃんが歌った「海」も良かった…。
やっぱり男前なオトウ、再登場!!
日常を送る花ちゃんにピンチが。
夜、蔵に閉じ込められてしまったところを、偶然訪れたオトウが助け出します。
この登場シーン、ひさびさなのに圧倒的な安心感!
一泊を勧め、隣どうしで布団に寝ながら語り合う二人。
村のみんなの近況、街での暮らし・・・
そして――オトウは、花ちゃんを送り出す前に誉さんと交わしたやりとり明かします。
その話を聞いて、花ちゃんは改めて誉さんの想いを知り、涙します。
嫁としてうまくやれているかと気にかけるオトウですが、
「お前は山の野菊なんじゃから、野菊は野菊のままでええ。きっと誉さんもそれを望んでおる」
この言葉がまた深い。
親としての愛情と人生観がにじむ名ゼリフでした。
誉さんの心の闇の部分が見え隠れ
いつも穏やかで完璧に見える誉さんですが、
今回見せた“猜疑心”がとても人間的でした。
花ちゃんの父が訪ねてきたと知ったとき、
「もし連れ帰るためだったら…」と、一瞬よぎる不安。
その感情に気づき、自分を恥じる誉さん――
あぁ、この人はまだ完全には癒えていないんだ、と痛感させられます。
“愛する喜び”と同時に、“失う怖さ”を抱く誉さん。
だからこそ、彼の想いがリアルで、胸に響くんですよね。
最後の夏祭りのくだりでも、癒えてない暗い部分が出てきます。
幼少のころの夏祭りでの苦い思い出がよみがえる誉さん。
花ちゃんは深く触れるまいとしてくれますが、 今回、誉さんは幼少のころの話を花ちゃんに聞いてもらうことにするのです。
自分を縛る過去から解き放たれるきっかけになるのか・・
次巻への静かな布石になっています。
🎐 まとめ
第7巻は、誉さんの心情がこれまででいちばん丁寧に“言葉”として描かれた巻でした。
幸せな気持ちも、黒い気持ちも、ぜんぶ含めて。
海辺で交わされる言葉、
花ちゃんを見つめる誉さんのまなざし、
そして、オトウの渋くて頼もしい男前ぶり。
すべてがやさしく、胸に残る一冊でした。
そして――誉さんが幼少期を語り始める8巻、
もうすでに気になって仕方ありません…!
おまけ
花ちゃんが歌っていた「海」です。ご存じない方はぜひ。


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