『軍人婿さんと大根嫁さん』8巻ネタバレ感想|切ない生い立ちがつらい…そして弟との再会!

まんが
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「軍人婿さんと大根嫁さん」8巻が発売されました。
今回は、7巻のラストから続き、誉さんが自身の少年時代を花ちゃんに初めて語る、大きな節目となる一冊です。

切なくて胸が苦しくなる過去が描かれる一方で、だからこそ今の花ちゃんとの暮らしが、いっそうあたたかく感じられます。静かに、しみじみと幸せが伝わってくる巻でした。

そして、そんな過去が明かされたあとに現れるのが、異母弟の存在。ふたりの関係がどう描かれるのかも見どころです。

さらに、三角さんとカヨコさん、幾松と寛さん、それぞれのエピソードも、二人の関係性やキャラが出てておもしろいですよ。

あらすじ

夏祭りの帰り道、花ちゃんの何気ない一言をきっかけに、誉さんはこれまで語ることのなかった自分の生い立ちを、静かに話し始めます。
孤独だった幼少期、家族との距離、そして軍人として生きることを選んだ理由――半ば人生を諦めていた誉さんにとって、花ちゃんとの出会いは、かけがえのない“幸運”でした。

そんな中、田中家を訪ねてきたのは、会えずにいた異母弟です。すれ違いながらも互いを想っていた兄弟は、ようやく向き合い、長いあいだ抱えていた気持ちを少しずつほどいていきます。

三角さんとカヨコさん夫婦、幾松と寛さんの関係も、それぞれのかたちで深まり、穏やかであたたかな時間が流れていきます。
お味噌を買いに行く話や牛鍋、台風の出来事など、大正時代の暮らしが垣間見えるエピソードも楽しく描かれています。

その一方で、軍の酒席にはどこか不穏な空気も漂い――。

8巻の見どころと感想

初めて語られる誉さんの生い立ち

誉さんがずっと濁して話さなかった少年時代を語ります。
塀で分けられた母屋と離れ。家族と隔てられ、厳しいお祖父さんとの生活。

寂しくて、うらやましくて、諦めて、望まなくなった。
それでもやっぱり子どもだから、ときどき無性にこみ上げてくる「帰りたい」という気持ち。
謙虚で慎ましい誉さんだからこそ、その感情が余計に切なくて、心がぎゅっと痛むんです。

自分の存在が家族をギクシャクさせている……。
優しい誉さんは、ずっと申し訳なさを抱えて育ってきたんですね。

お祖父さんが亡くなったあと、誉さんを継がせたい父親と、それに反発する継母。その間で居心地の悪さを感じていたのも、無理はなかったのかもしれません。

波風を立てないように選んだ道。
それが本人にとっては「流されてきた人生」という感覚につながっているのかな、と感じました。

ねこ探しのエピソードも印象的でした。
七つ下の弟のために探してあげる、優しいお兄ちゃん。
こっそりと母屋と離れを行き来する姿が、健気で、やっぱり切ないのです。

ネコが帰ってくる歌とは

お友達の山本君はとてもいい存在ですね。
こういう少し文学的な香りのするエピソードが入ってくるところも、コマさんのマンガの好きなところです。

たち別れ いなばの山の 峰に生ふる
      まつとし聞かば 今帰り来む

小倉百人一首016番 中納言行平

一時期「ちはやふる」の影響で競技かるたをかじった私が、簡単に説明しますと……。

作者は中納言行平、つまり在原行平。光源氏のモデルともいわれる在原業平の異母兄です。
決まり字は二字決まりで「たち」(ここ大事・笑)

意味は、
「これから因幡へ向かい、あなたと別れることになるけれど、“待っている”と聞いたなら、すぐにでも帰ってきますよ」
という、別れを惜しむ歌です。

「松(まつ)」と「待つ」、「いなば」と「往なば(行ってしまったら)」が掛詞になっています。

そしてこの歌、ここで描かれていたように、飼い猫がいなくなったとき、この歌を書いて猫の食事場所に貼っておくと帰ってくる、というおまじないのようなものがあるそうです。

全国的に知られている話のようですが、九州のこちらではまったく聞いたことがなくて、どうやら作者のKomaさんの地元・石川県あたりで伝わっていたものなのかな?と思ったり。
参考URL→https://crd.ndl.go.jp/reference/detail?page=ref_view&id=1000331221

一緒のお墓に入りましょうねの真意

少年時代から今に至るまでを語ってくれた誉さん。
表紙にもなっている、花ちゃんの膝枕の場面です。
すべてを聞いたあと、花ちゃんは誉さんの手を自分の頬にあてて言います。

一緒のお墓に入りましょうねェ

第73話 帰る場所の話

ちょっとビックリしました。

「ずっと一緒にいましょう」ではなく、「お墓に入りましょう」。
なぜこの言葉なんだろう、と。

私は、少しうがった見方をしてます。
きっと、2巻で出てきたヘルマンヘッセの詩「何処かに」が関係しているのかな、と思いました。
コマさんが運命のように出会ったこの詩を、もう一度この物語の中で表現したいと思ったのかな~と。

誉さんがずっと求めていた「帰りたい場所」であり「心穏やかになれる場所」。
それは実家の母屋ではなく、花ちゃんの田舎のような、温かい風景。

それをイメージとして描きたかったんでは??などと、勝手に思い巡らすのです。

おかげで、すごく美しいページになってますよね。

そう思うと、「お墓に入りましょう」という言葉も、怖い意味ではなくて、
👉「最後まで一緒にいようね」という、とても静かで深い約束に感じられます。

巻末には少し不穏な空気もありますが、
この作品はきっと、ただ悲しいだけの話にはならないはず。

だからこそ、「大丈夫」と思って読みたいところです。

兄弟の再会と、ほどけていくわだかまり

誉さんは幼いころ、家族と離れて祖父と暮らしていました。
一方で、父親と継母、そして弟(充)は母屋で生活しており、行き来はほとんどありませんでした。

弟もまた、大人たちの確執の中で生きてきた存在です。
兄の不遇を思うほどに、どこか負い目のようなものを感じていたのではないでしょうか。

そして誉さんもまた、弟をうらやんだことや、自分の選択が結果的に弟に負担をかけてしまったことに、申し訳なさを感じていました。

お互いに恨むのではなく、思い合っていたからこその距離。
それが今回、少しだけほどけていくのが、とても良かったです。

短い時間でも、ちゃんと向き合って話せてよかった。
そしてそれができたのは、やっぱり誉さんにとって花ちゃんの存在があったからなのかもしれません。
花ちゃん絶大です。

今後の充さんとの関係にも期待したいですし、できればお父さんとも――と、つい思ってしまいます。

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不器用だけど愛おしい、2組のカップル

今回は、三角さんとカヨコさん夫婦、それから幾松と寛さんのエピソードも印象に残りました。

三角さんとカヨコさんは、カヨコさんが聡明で落ち着いているように見えて、意外とやらかしてしまうんですよね。正義感の強い勇ましいタイプみたい。でも一方で、人一倍落ち込んでしまう。

そんなカヨコさんをうまくフォローする三角さんの言葉が、また素敵なんです。知的さがにじんでいて、いいんですよね。普段はお調子者っぽく見えるのに、実はなかなかの切れ者。
カヨコさんにぴったりだと思うのですが、もう少し素直になったらいいのに、なんて思ったりもします。

お互いに少し不器用で、どっちもどっち。だからこそ人間くさくて、そこがまたいいのです。

一方で、幾松と寛さんは、ぶっきらぼうでどこか冷めた関係に見えるのですが、実はとても優しくて、お互いをきちんと気遣っているのが伝わってきます。

この二つのカップルも、これから少しずつ関係が進んでいくのを見られたらいいな。

まとめ

読み終わったあとに残るのは、ふたりの間に流れる空気でした。
より落ち着いて、より絆が強くなった夫婦になったように感じのは私だけ??

読んでいて、言葉にしすぎない優しさや覚悟のようなものがじんわり伝わってきて、「このふたりいいな」と素直に思える一冊でした。

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